冷蔵庫には桃がある。
桃の真ん中は食べない。
種だから。
きっと人は誰でも、
その人の真ん中があって、
その真ん中から、自分以外の世界へ向けて少しずつ自分の果肉を育ててる。
だから種に近い部分はあんまり熟れてないし、
外気に触れる薄皮に、近い部分になればなるほど、人に優しい味になる。
わたしの仕事は、桃農家の人みたいなもの。
わたしの桃を食べてくれるみなさんは、
「天野さん家の桃はあんまり甘くない」
と思ってるかもしれないけど(笑)
天野農家的には、「今年も美味しく出来ました」を目標にはしている。
あんまり甘くなくても、
それは種の問題だから、しゃあない(笑)
自分の中の最上級品をお届け出来るように、
時には枝を選定し、
肉や血となるものに触れ、
自分の種から果実を育てるのみなのだ。
誰さん家の桃なのか知らないけど、
今年の桃は、甘い。