ひとごと。

雑音生活

ひとごと。

うちのマンションの自転車置き場は、
マンションの内庭にあって、
住民しか入れない。  

芝が植えられているせいなのか、
そこはズバリ蚊の巣窟で、
夏場は、
しましまの蚊たちが、どれぐらい舞い踊ってらっしゃるか、
目で確認出来てしまうぐらいの、
そんな、むず痒い場所だったりする。

常時、「1人VS30匹以上」なので、
立ち止まったら負け
な気がして、
いつも、猛スピードで自転車を出し入れするようにもしている。

ダッシュで駆け抜けても、2〜3箇所刺される事がある。
やつらは命がかかってるから、この際2〜3箇所ならしかたないと思うようにもなった。

とにかく数が半端ないので、
誰ひとり、蚊に囲まれながらも駆除に勤しむ勇気はないのか、
4年間このマンションに住んでいて、
蚊の数が改善された事はない。

自分の部屋で蚊に遭遇しない限り、
誰もが、あの蚊は「ひとごと」なんだと思う。

そしてわたしも、その「誰も」のひとりだ。

 

でも、
その芝のおかげで、
他の生き物も出現する。
カエルとか、トカゲとか。

 

この前、小さいトカゲがいた。

わたしが自転車置き場に現れると、
巨大生物出現!
とばかりに、ささーーーっと逃げていってしまったけど、
2匹組だった。

兄弟なのか、夫婦なのかわからないけど、
東京で野生のトカゲを見るのは久しぶりで、
ちょっとテンションが上がった。

小さい頃、トカゲを飼っていた事がある。
イモリも、カエルもある。

だから、個人的に、トカゲと会えた事が嬉しかった。

 

今日、
最初に発見した時には、ささーーーっと逃げていったトカゲが、
壁に貼り付いていた。

わたしが近づいていっても、逃げようとしなかった。

 

トカゲは、亡くなっていた。

暑さでやられてしまったようだった。

自転車置き場の壁に貼り付いていたので、
住民のみなさんの目に留まる事になると思った。

  
世の中には、爬虫類や両生類が苦手な人がいる。
爬虫類が苦手な人は、多分わたしが思っているよりも多いんだと思う。

 

「あ!トカゲだ〜(わくわく)」って、一瞬でも幸せな気持ちにさせてもらったので、
わたしはこのトカゲを、「ひとごと」にしちゃいけないと思った。

だから、
責任持って、近くの公園に埋めて来た。

 

トカゲにとって、
土に還してあげる事がいい事なのかどうか分からないけど、
トカゲが苦手な住民が仮にいたとしたなら、いい事だったのかもしれない、
と自分に言い聞かせている。 

そんなわけで、
トカゲを取る時に、
ほんの少し、自転車置き場で立ち止まってしまったわたしは、
やっぱり、蚊のかっこうの餌食になったわけだ。

 

猛烈にかゆいが、
反撃しにいく勇気は、やっぱりない。

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