萼-utena-。

雑音生活 ライナーノーツ

萼-utena-。

志方あきこさんのアルバム「Turaida」が発売されました。

おめでとうございますー。

志方さん経由でわたくしめのブログまで飛んで来て下さるコアな方々は、
もうアルバムをお聴き下さったかと思うので、
「萼-utena-」のちょっとしたライナーノーツを記しておきます。

 

「萼-utena-」は、
映画「メサイア〜漆黒ノ章〜」の主題歌として、
映画の資料を読み、内容を大まかに把握した上で歌詞を書きました。

 

「メサイア」は、
国家の秘密任務を遂行するために育成されたスパイたちのお話です。
スパイである彼らには、
過去の経歴も、国籍もありません。

彼らスパイは必ず2人組を組まされ、共に行動する事になります。
その相棒の事を、メサイアと呼んでいます。

彼らには、
味方のスパイがどんな窮地に立っていようとも、
たとえば生死を分かつような瞬間でも、
相棒以外は、けして救ってはならないという厳しい規律があるのです。

 

というこれまでも携わらせて頂いた「メサイア」共通の世界があり、
誰が主人公で、いつの時期の話なのか、という各作品の違いがあるのですが、
今回の主人公は、
自分の相棒を救えなかった、という経歴の持ち主でした。

それでも、立ち止まる事は許されない。
己の任務を全うしなければならない。

おぉぉぉ、これは辛い、これは辛いぞと、
資料片手に思いました。

 

でも、そういう状況下の人、
立ち止まってなどいられないから必死に歩くその姿、
わたしは、何よりも美しいと思っています。

本当は泣いてしまいたいのに笑っちゃう人なんかも、
同様に美しいと感じます。

 

これはわたしの、
「何を美しいと思うか」という価値基準の根底に流れるものなのです。

 

だからなのか、
歌詞書くの、すごい早かったのです。

自分でも、あまりの早さに驚き、
何度も「ほ、ほんとに出来上がったのか、勢いで書いたりしてないか自分‥‥汗」
と出来立ての歌詞と音と譜面を何度も確認したほどでした(ちなみに、書き終えた歌詞を志方さんに送るまでに、最終的に一日寝かせました。熟成するわけでもなかろう。笑)

 

萼(うてな)は、
前にも少し書きましたが、お花のガクの事です。

「メサイア」の中のスパイたちは、
通称「サクラ」と呼ばれるのですが、
この花たちは、表舞台に立つ事などない、
存在を消された、透明な花たちです。

透明な花は、萼しか見えないのではないかと思い、このタイトルにしました。

 

透明な花は実在するのだろうかと思って、
一応調べてみたのですが(ないだろうよどう考えても)

雨に濡れて、その雨粒を花びらが吸い上げて、
花が透き通る場合がある、という事を知りました。

 

いくつか画像でも確認したのですが、 
これがまためっちゃ綺麗なのです。

 

その画像を見た時に、
雨に濡れて透明化した花と、
映画の主人公の状況や心情、
楽曲の3点がわたしの中でぴたぴたぴたーっと一致したのでした。

なので、そんな感じの歌詞なんじゃないかなぁと思います。

 

志方さんのデモテープを頂き、
初聴で一番印象に残ったのは2番のラストのメロディーでした。

鳥肌立ったのですよ。

だから、一番最初にあの部分の歌詞を仕上げたのが、
個人的には思い出深いです。

 

聴いて下さっているみなさま、ありがとうございます。

そして歌詞を振ってくださった志方さん、ありがとうございました。

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