「五枚同時シングル」とベストアルバム「カタログ」まで。
前作A MOON CHILD IN THE SKYのミックス最終日、
ああーーー終わった〜〜完成だ〜〜〜という幸せな気持ちが溢れ、
スタッフのみなさんとお夕飯を食べながら、
そうかそうか、来年は5周年なんだねぇという話が出て、
「5周年なんて誰も特に祝ってないから、天野は盛大にお祝いしよう」
とスタッフが話し出し、
「誰もこれはやらないって事やりたいね。5周年にかけて、5枚同時シングルリリースとか」
と半ばギャグで、
絶対この案が通るはずがないという自信満々で(だって、同じ10曲ならアルバム作った方が予算的に安いし、みなさんのお財布にも優しいわけだ。まさに誰得)言ったら、
数日後にポニーキャニオンから正式に許可が下りてしまい、
有言実行する事に(笑)
浮かれどき 軽い発言 気をつけろ
ムンチャイ発売の頃には制作スタートしましたが、
スタジオに入って実際にレコーディングに取りかかったのは年末からでした。
5枚同時の事で頭沸騰しながら、
もはや現実逃避と言っても過言ではなかった12月中旬の時期に、
タイガー★ナイト(虎のみなさんのワンマンライブ)も開催しました。
ええ、楽しかったです。
5枚同時、最初に烏から書きはじめたと思います。(サビが出来るまで時間がかかって途中で放置したけど)
シングルなので、
言葉遊び出来る単語を集める、というところからのスタートではありました。
また、
せっかく5枚も一気に出せるのだから、
自分を大きく5つに分けるならば、という5作品にしようと、はなから思っておりました。
烏をモチーフにしたものは前から書きたくて、
そこから言葉遊びをしていった結果、
混沌と、漢字が似ている梟が浮かんで、
漢字二文字で「へん(漢字の左側)」がさんずい繋がりで泡沫(ウタカタ)、
ぐらいまでは一気に出た気がします(タイトルがね)
どれがシングルのいわゆるA面になるのかは、曲が出来た後で考えようぐらいの、
制作時間のなさとの戦いでした。
烏のカップリングに梟がいいんじゃないかなという軽い気持ちでさくさくさくっと作ったら、
これはA面にしよう、とスタッフの満場一致でA面への下克上を果たし、
そうなると今度はお互いのカップリングが必要になって来て、という感じです。
風船と光線も、どっちが表面になるのか、最後の最後までみんなで悩んだ。
ちなみに混沌-chaos-(カオス)のカップリング案には餃子-jiaozi-(チャオズ)もありました。
尾道にジャケット撮影に行ったのは3月中旬。
海の潮の香りがする街でした。
3泊4日(初日は前乗りで、夜の22時に現地入りしました)
日が昇る前からメイクして、
朝の7時から日が落ちるまで撮影していたので、
尾道の観光スポットはほとんど回れませんでしたが、
この撮影地を選び、撮影を楽しみにしていた入院中のボスが、
絶対に納得する写真を撮って帰ろうと、
実に1000枚以上の写真を撮り収めたのでした。
ポラロイド(フィルムに実際撮った時の光量などのもろもろの事前チェックの為に撮るものなのです)もたくさん撮った。
確か、烏→混沌の撮影
梟→風船→ウタカタの撮影(トイレ)で、
最後にウタカタの街中での撮影して、お昼食べて解散だったと思います。
ファンクラブ会報誌用に書いた尾道撮影マップ。
だいたい毎朝ロープウェー乗り場集合で、そこから徒歩で現地へ向かう感じでした。
A写やポスターの撮影は4月に入ってから。
1日で2つ以上のメイクチェンジはジャケットの時にやってるんだけど、
5人分はさすがにはじめてで、
全部1からやると、洗顔しすぎで顔が痛くなるというメイクさんのアドバイスの元、
メイクの薄い順に撮影して、
アイシャドウやチークなどのウワモノ少しずつ変えていく方法を取って、
完全メイクチェンジを3回までにしたんじゃなかったかなと思います。
PV撮影は4月末日から5月上旬、3日間に分けてでした。
デビューした頃からずっと、
めちゃくちゃ長いPVを作ってみたいねと言っていたので、
念願叶った感じではありましたが、
ポニーキャニオン、こんなゴージャスなPV、本当によく作らせてくれたと思います。本当に感謝。
5周年記念のベストアルバムも出しました。
5枚同時のPV集と一緒の発売日で、七五三の日だった。
ベストアルバムは、シングル集を軸に考え、
限定販売だったデラックスカタログの方は、
シングルにしようか迷った曲も入れた感じでした。
その名の通り、
わたしのカタログのようなものになればいいなと思った作品。
ベストアルバムを出す前には、ポニーキャニオンを離れる事を決めていました。
インディーズに戻ろうと。
なので、お世話になったレコード会社のみなさんへ、
わたしからの置き土産という気持ちも込めて作った作品でもあります。
レコード会社のみなさんとは、本当に思い出がたくさんです。
またどこかで会いたい人も、たくさんいます。
わたしは良く、ミュージシャンから言われたのですよ。
女性アーティストで、こんなにやりたい放題好きなようにやる事を、
周りのスタッフだけじゃなく、ファンも含めて許されてる現場を他に知らない、と。
チーム天野にとって、最高の褒め言葉だと思います。
ベストアルバムの衣装は最高のものを作ると、スタイリストさんが言いました。
今までたくさん衣装を作って来たけど、いつもどこかで、ああこうすれば良かったっていう後悔が残る。このドレスはそれがない。僕の作品の中で一番満足いったんだよね、と後に話してもくれました。
このベストアルバムのドレスが、
大塚さんが手がけたわたしの最後の衣装です。
一応白雪姫的な感じをイメージしてるんだけど、どう見ても毒林檎配るほう。
淡路島国営明石海峡公園、月のテラスにて。