「Licht」まで。
活動封印している間の1年は、歌詞のない状態で誰かが歌う用に曲を書き溜めていました。
なので、音楽そのものからは離れていなかったのですが、
しばらくの間、自分がまた歌う事は想像出来ませんでした。
だから、歌詞を書く事もほとんどしなかった。
そんな時に提供曲の依頼が来たのです。
シェイカーのアルバムでした。
1曲、歌詞全編に渡りNGが出たものがありました。
らしくない、との事で。
こんなダメ出しは初めてでした。ほぼ全編書き直した事も初めてです。
書き直しは即OKを頂けましたが、
その時にシャラさんから、
「歌を好きな気持ちまで封印したらあかんよ」
と言われました。
その言葉、ズシンと来ました。
図星だったからです。
最終的にはボスが、
「今やりたい音楽をやればいい」と後押ししてくれました。
そうしてLichtまでの道のりがスタートしたのです。
弾き語りで歌いはじめた頃に作っていたような、
ふりだしの音楽からリスタートしたい。
素っ裸な作品をひとつでいいから出したい。
そこから始めなければ、再開する意味がない。
ふりだしからだったら、またずっと歩いて行ける気がしたのです。
スタッフは了承してくれました。
そう思って、歌を始めた頃にトレードマークだった前髪を作りました。
歌い方も初期の頃の喉の使い方にあえて戻しました。(戻り切ってないと思うけどなこれは)
音楽性が変わったと、そう感じた方がほとんどだったと思います。
そりゃそうだと思うです。
デビュー前のわたしがどういう変遷をしたかなんて、その全部の歴史はわたし以外は知らないからね。
わたしがデビュー前に使っていた1人称のメインは「僕」でした。
デビュー当時、それではポップなイメージになってしまうなと思って、
「僕」を封印してたのです。(ニコ生か何かで話したね)
ミニアルバム「Licht」は、素っ裸であるというのをより具現化しようと、
Howlingの頃に趣味で書いていたCLOVER CLOVERを除き、公開ライヴレコーディング(1発録り。何度もミスって録り直したけどね。誰がってわたしのミスだよ)しています。
その曲をはじめて耳にするお客さんにちゃんと届くかどうか、これは真剣勝負だなと思いました。
そういう、曲を誰かに直接奏でる事で伝える、というものに重きを置いた作品だったかもしれません。
あの時、咳をしたりくしゃみをしたりだけではなく、
物音を立てないように静かに静かに観客席で聞いて下さった(見守って下さった、が正解かな)みなさんに感謝です。
途中、今日中に終わらないんじゃないかと思った、ライヴレコーディング(笑)
「Licht(リヒト)」はドイツ語で光を意味する言葉です。英語だったらLightです。
英語のLightという響きが好きではないので、他の言語を探して、
あれ、リヒトってちょっとV系バンドメンバーの名前みたいじゃね?
と思ってこのタイトルにしました。
アルバムのテーマも「光」です。
ひかりのサーカスの記事はこちら。
うつくしきものの記事はこちら。
CLOVER CLOVERはこちら。
ブルチネッラの涙はこちら。
Strawberry on the Shortcakeはこちら。
1+1が2にならないはこちら。
汚れた犬はこちら。
歌詞を書いてて一番、おおおおこれはふりだし感満載だねと思ったのはプルチネッラでした。この歌詞の上に陽気なアレンジが乗る感じ、ドジなピエロを物語るみたいで好きなのです。
1+1が2にならない、これは1人称を「僕」にして良かったなとしみじみ思います。わたしだとただ重いんだよね。
逆に、やっぱ自分の曲はこうだなという感覚が溢れたのは、汚れた犬を書いてた時です。
わたしはいろんな人の愛で洗濯された、ただの汚れた犬でしたから。