楽譜こそ作品。

雑音生活

楽譜こそ作品。

昔、わたしの楽曲のスコアを出して欲しいという要望が寄せられることがたびたびあったんだけど、
スコアっていうのは、それ自体に著作権が発生するため、
楽譜の出版社から著作物として利益を見込めると思ってもらえないと、こちらが出したくても出せんのです、
と答えた事があります。

譜面(構成譜)は、わたしたちにとっては目に見えない楽曲を唯一可視化してくれるもので、
この曲はこういう曲ですと言葉で伝えるよりもずっと正確に伝えられるアイテムって感覚が強いけれど、
実は楽譜こそ音楽作品そのものなんです。
クラシックの世界では、未だにスコア=作品になってるはず。

はじめてストリングス(弦楽器)のレコーディングに立ち会った時、
その場ではじめて渡される譜面を一読して、
何回か練習するだけで録りに突入するストリングスの方々を見て、
めっちゃくちゃ感動したのを覚えています。

わたしたち、いわゆるPOPSが土台になっている人間とは、積み重ねてきたものが圧倒的に違う。

コードが書いてある構成譜とは違って、ストリングスの譜面やオーケストラの譜面は、
当たり前ですが、音符で書いてあります。

昔は、
アレンジャーさんが書いてくれた全体の譜面を、
写譜屋さんに送り、
パートごとに分けて1枚1枚清書して貰った譜面が、
レコーディングスタジオに時間指定で送り届けられて、
そのままレコーディングに取り掛かる、
という流れでした。
今は譜面アプリとかあるので、
写譜屋さんのお仕事も少なくなってるかもしれないね。

『カメリア〜愛のバージョン〜』のファーストバイオリンの譜面です。
これは写譜屋さんの手書き。めちゃくちゃ読みやすいでしょ。

オーケストラバージョンの譜面なんて、もう二度と使わないんじゃないかと思うけど、
スコア=作品だからね、
ちゃんと保管してあるです。

これが凄まじい量でな、今いろいろ片付けてるからついでにファイリングしようかなと思って、速攻で諦めたよ。(左側のファイルは、天野の2001〜2005年までの楽曲の構成譜ファイルです。構成譜約40曲 VS ストリングス・オーケストラ・チェロ譜約30曲)

わたしには大事な財産。
これをなくしたら、二度と譜面に起こせない。

麦さんが、紙類にまったく興味のない猫で、良かった(笑)

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