ビンテージ。

雑音生活 ひとりごと

ビンテージ。

今日は古くからの友人に会いに、下北沢へ行ってきた。
残念ながら写真は1枚もない。

下北はどんどん新しい街に変わっていっているけど、
真新しい建物やお店と、古くからの建物やお店がひしめきあう今の感じは、嫌いじゃないなってなる。
いろんな老舗が撤退したり、立ち退きにあったりしている話を耳にしたけど、
できれば老舗の多くは残って欲しいなと思う。

すでに老舗になりつつある、
故スタイリストの大塚さんとわたしが共通で買い付けてた、ヨーロッパからビンテージの洋服を仕入れて売っているお店にも顔を出してきた。
わたしが店長さんから月さんと呼ばれている、数少ないお店のひとつ。

めちゃくちゃに可愛いワンピースやスカートなどを、
(買うかどうかは置いておいて)次々に試着させて貰ったりして、
え〜可愛い〜え〜すっごい似合う〜と言われまくってきたんだけど(セールトークだろうけどもな)

ふと店長さんから、

「そうだ、大塚さんがさ、
 月ちゃんに70〜80年代の輸入物のビンテージを着せるとさ、
 当時こんな人が着てたのかもしれないなって雰囲気になるのよ
 しかも何着ても月ちゃんハマるのよ、って言ってた」

と言われて、

かつて、
わたしをモデルにビンテージドレスの写真を撮らせて欲しいと、
大塚さんから依頼があった事を思い出したんだよね。

スタイリストさんが、自身のビンテージコレクションのフォトセッションをしたいだけで、
外に出る写真ではなく、ましてや写真集になるものでもなかったので、
その撮影をする事に、天野には何のメリットもない、
と事務所に判断されて、
実際にフォトセッションする事はなかったんだけど(ノーギャラでもわたしはやりたかったけどね)

そうか、
だからあの時大塚さんは、モデルさんじゃなくてわたしをご指名してくれたのか
と今更ながら知って、嬉しさ爆発した次第。

ちょうど今日会った友人とも、
わたしは一見、我が道をひたすら突き進んで、他の意見を聞かない頑固者(の風貌)に見えるんだけど、
実際は逆でさ〜、
与えられた課題をどう自分に落とし込んで、最も(わたしに)求められる形で表現するかってとこが楽しいタイプなんだよね〜
という話をしてて(友人が逆パターンだからこの話になったんだけど)

音楽も、洋服も、まったく同じだな〜って思った。
相手に合わせて変幻自在になる自分だからこそ、
誰に楽曲アレンジしてもらうか、
どんな服を纏うか、とても大事にしてるんだろうな。

下北沢で友人とランチをしながら、街を行き交う人たちを眺めた。
わたしが暮らしていた頃の下北は、
変わった服を着て、派手な髪型をした、承認欲求の塊のような人たちばかりが巣食う街だったけど、
現在は、どこにいても目立たない、同じような服装をしている人がとても増えた。

新しい街が作られていく過程の、
これまで下北に赴いた事がないような人たちが一気に増えたって事もあるんだろうし、
物価高や不況も原因ではあるだろうけど、
目立たず、波風立てず生活する事で自身の平和を保とうとする、
今のそんな日本を象徴するかのようだった。




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