アルバム「Daisy」ライナーノーツ、そのに。

雑音生活 ライナーノーツ

アルバム「Daisy」ライナーノーツ、そのに。

歌詞やレコーディングした音源を持ち運んだ宇宙人USB。

素材12

ライナーノーツ、続きです。

 

「蝉」

不貞なかほりがしますが、
僕たちは出会うのが遅すぎた、という状況の方が世の中多いのかもしれません。
でも、その逆もあります。

出会うのが少し早すぎた。

そういう歌を書きたいと思いました。

 

その、互いに出会うのが早かった状況を考えていた時に、
You Tubeで周期ゼミのドキュメント動画を見たのです。

(http://www.youtube.com/watch?v=ICDdTBgqYt0)

 

あぁ、蝉だと思いました。

穴の中で偶然出会い恋に落ちた幼虫状態のオス蝉とメス蝉。

それはそれは、出会うの早かっただろうよ、と思ったのです。

 

周期ゼミは、
その地域で一斉に同じ年数で羽化し、次の代へ命を繋げます。

周期ゼミなら羽化する時期が一緒なのだけど、
そうじゃない蝉同士の場合、
一緒の季節に空を飛べるのか、そんな事さえ分からないんだなと思いました。

一緒の時期に穴から出て来れても、羽化に成功し、ちゃんと飛べるとは限らない。

約束されていない、不透明な未来。
でも、その未来を想う歌です。

だからどんな蝉でも当てはまる「蝉」というタイトルにしました。

カナカナ言うてるから、まあヒグラシだとは思うけどな(笑)

 

前奏・間奏やアウトロでいろんな位相でジジジジ鳴ってるあの音、蝉の声だよね。
それに気付いた時、めっちゃ感動したのです。

 

「Daisy」

デモ段階から、
この曲はボトルネックを入れてほしいと思っていて、
その意思表示にライターでボトルネックもどき奏法したりしておりました。

乾いた感じを出したかったのです。

ギターリフ、めちゃかっこいい仕上がりで、とても嬉しかった。

 

デイジー、ひな菊は、
よく墓地に咲いている事から、
「埋葬する(push up daisy)」という熟語にまでなったお花だという話を以前しました。

自分の中で押し殺した感情、
埋葬したもの、
その捌け口はないかもしれないけど、
埋めたところに咲いていた花だけは、
一体何を、どんな気持ちで埋めたか見ていたかもしれない。

という視点からこの曲を書きはじめました。

 

歌を歌うというのは、
日常ではなかなか言葉に出来ないような事を他の手段で伝える行為に近いです。

だから基本的には埋める前に吐き出している感じがするのですが、
その言葉に出来なかった感情が作品になると、
毎回毎回
「とある感情」のお墓(祭壇)が出来たような気持ちになるのです。

いつでも、誰でもお参り出来る祭壇。

 

この曲は言葉に出来なかった感情ではなく、
言葉になんかしなかった感情に焦点を当てました。

そして曲を書き上げた時に、アルバムのテーマが決まったのでした。

 

歌うたいなんて、所詮、とんでもなくさみしがりだと思っています。
だって、いろんな人にお参りに来て欲しいんだもの。

祭壇周りに咲いていた花だけしか、本当の事を知らなくてもね。

 

「ひかり」

レコーディングの時に、
この曲、メロディとかやさしく感じるかもしれないですけど、
テーマは「絶望感」です、
と口頭で説明したのはこの曲です。

 

作りながら、キー合わせにけっこう苦戦しました。

もっと低くする事も出来るのだけど、
これ以上低いとライヴで声を張れないし、
高くする事も可能だけど、
それではヒステリックになりすぎる、の繰り返しを経ました。

 

「ひかり」というタイトルで書くと、
君は僕のひかりである、
という落としどころになる気がして、
天野、そんな曲は絶対に作るもんかとかねがね思ってまして(笑)

この曲は、書き上がってからタイトルを考えた、
わたしとしては珍しいパターンなのですが、
すとんと「ひかり」と付けられました、何の迷いもなく。

 

どんなに悔しい悲しい事があっても、
いつかは、その輪郭がぼやけて、
いつしか乗り越えていけるのなら、
今の痛みがいつか懐かしい思い出に変わるのなら、
うじうじせずに、
一刻も早く、さっさと乗り越えてしまえばいいのだと思っているタイプです。

ひかりは誰の元にも等しく降り注いでいる。どんな状況でも。

目の前が真っ暗であればあるほど、ひかりはちゃんと見えると信じています。

どうしてもどうしてもどうしても真っ暗だったら、
電気付ければいいと思うんだよね。

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