詩人になりたかったわたしが、
シンガーソングライターを目指したきっかけとなったのは、
友人のこの言葉。
「君の詩は、言葉だけだと伝わらなかった。分からないなって思ってた。けどメロディがついたら伝わって来た。君は歌うべきだ」
この言葉がなかったら、
わたしは、本腰入れて歌をやっていこうとは思わなかっただろう。
ただなんとなく、
自分の将来を模索した幼い日々の流れの中で、
趣味的感覚で歌いはじめてみただけだったから。
何かを作る人になりたかった。形のある何かを作る人に。
その「何か」はとてつもなく漠然としていた。
であるからいろんな事を試した。
興味を持った、あらゆる分野を。
絵は、みなさんも知っているそのひとつだと思う。
詩も幼い頃から書きはじめた。
写真もやった。
舞台の照明や小道具制作、
洋服のデザイン、裁縫も実践した。
これ全部、自分が表には出ない裏方の仕事。
歌だけが表方だ。
なので、いろいろやって来た経緯を知っている友人のその言葉は、
わたしにはけっこう衝撃的だったし、説得力のような重さがあった。
それまでの自分としては、表方は馴染みの薄めな分野。
シンガーソングライターは、表方中の表方だと思う。
でも、だからあえてチャレンジするぐらいがいいのかもしれないと思った。
わたしは、高い目標を掲げれば掲げるほど燃えるタイプ。
いきなり高いハードルを設置して、
それを飛べる自分しか想像しないアホ、とも言う。
もちろん怪我をする事も多々ある。自業自得だ。
わたしにとって、
曲を作ったり詩を書いたりするのは暮らしの中の一部に近いけれど、
歌う事そのものは試練。
未だに試練。
自分の作品が、どんな風に受け止められるのか、
受け止めてもらえるのか、受け流されてしまうのか、これまた試練。
だから面白い。