わすれないこと。

雑音生活

わすれないこと。

そういえば、
先日のニコ生の背景として準備したイラスト素材、
あれにしたのには、ちょっとした個人的感情が背景にあります。

ポニーキャニオンと金屏風のセットは、
わたしのちょっとした思い出のひとつなのです。

はいけい

「Sharon Stones」が完成した時、
ポニーキャニオンの担当さんたちが、
業界関係者の方たち(ラジオ局の方や雑誌社、インタビュアーさんたち)を招待して、
「Sharon Stones」の試聴会をしてくれた事がありました。 

ポニーキャニオン社内の、視聴装置が完備されている広い会議室での視聴会です。

視聴会というより、新商品のプレゼンテーションと言った方が伝わるかもしれない。
取り扱われた新商品が「わたし」という感じの。

 

通常仕様の飾りっ気のない会議室では雰囲気が出ないから、
天野らしくしようと、スタッフのみなさんがいろいろアイディアを出してくれました。

たとえば、普通のお茶を出すのではなく蕎麦茶にしようとか(わたしが蕎麦茶が好きだから)
お茶受けに金平糖をテーブルに置いておこうとか。(金平糖っていう、好きなピアノ曲があるんですよ)

会場内には衣装デザイン付きで、これまでの衣装が飾られたり、
それまで描いてきたイラストも展示されました。

会議室全体を暗幕で覆って暗くし、
関係者が座った各テーブルには、蝋燭のような暖かい灯かりが置かれました。

営業部、宣伝部、担当さんなどが、
普段あまりお目にかかれないようなピシッとしたスーツを来て、
司会進行やご挨拶などをしてくれました。

視聴会には、もちろんわたしも参加しています。
この作品はわたしにとってはこういう作品ですと、
集まってくれたみなさんに伝えるために、
自宅から振袖着用で来ました。

プロデューサーの戸倉氏も参加しました。
「これは僕の一張羅です」と言って、
猪木Tシャツを着ていた事も覚えています。

 

ファーストアルバム完成の視聴会、
本来プロジェクターで歌詞やMVを流して聞いてもらうだけで良かったはずのものは、
各々のアイディアを盛り込んだ結果、
まるで横綱襲名記者会見のようなおめでたい雰囲気に演出されたのです(笑)

 

その日、こんなものが社内にあるわけないというテイストの、
絢爛豪華な刺繍の入ったアンティーク調の椅子にわたしは座りました。
わたしの後ろには山のような生花の飾りと、
金屏風みたいなものが置かれていた。

  

背景のイラストを考えている途中、わたしはその視聴会の事をふと思い出したのです。

 

その話を担当さんにしたら、
やったねぇそんな事!と笑いながら、
「というかここでやったんじゃなかったかな、その視聴会」
と、先日のニコ生の控え室にしていた会議室を指しました。

そう言われてよく周りを見たら、
当時の記憶と合致していく部分がいくつもあって、
ああほんとだーと、なんだか妙に懐かしく、同時に嬉しかったです。

なんというか、金屏風を描いてって良かったと思いました。

 

10年も経つと、
社内の床のカーペットの色とかエレベーターの内装とか、
全く気に留めてもいなかった部分ですら、
ああ、これだったこれだった、全然変わってないなぁとか思うもんだね。

わたしはポニーキャニオンにとって優良とは言えないアーティストだっただろうと思うけど(汗)
こうしてまた作品で関われる事を、本当に嬉しく思います。

 

大阪支社営業部お局のIさん、 
名古屋支社営業部にいた愛情深いKさん、
元気かなぁ。

もう会社から離れちゃったかもしれないなぁ。

会いたいと思っていたら、会えるかもしれないからね、
この気持ちはずっと抱えていこうと思う。

例えわたしが会社にとって商品でしかなくても、
そういうものを飛び越えて、友達になってみたかった人はたくさんいたんだ。 

だって人間同士だもの。

人間だもの。

みつを。

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